先進国貧乏

いつぶりだろうか。こんな気持ちになったのは…

「世界で最も貧乏な大統領」と言われているムヒカ大統領が、地球サミットで語った衝撃のスピーチ|中下大樹のブログ |Ameba (アメーバ)

こういうことを意識する様になったのは僕が前の会社にいたころからだった。僕は毎年、インドのムンバイ(旧ボンベイ)に船員たちと意見交換をするためのセミナーに参加していた。初めてムンバイに降り立った時に感じた事は、とにかくいかに今まで自分が綺麗事だけで生きてきたかということだ。

空港からタクシーに乗って五つ星のリゾートホテルに向かう。窓の外に見えるのは僕とは異世界に住む超がつくほど経済的に貧しい人たち。道路は年中舗装工事をしていて(毎年くるごとにいつもやってるので…)、道路の中央分離帯、恐らく幅60cm程だろうか、そんな場所にホームレスとして横たわる親子(母娘)、その娘は恐らく今の僕の長男6歳と同じくらいだっただろうか、信号待ちのメルセデス・ベンツに乗っていた僕と目が合った。今までこんなに綺麗な目は見たことが無いくらいに輝いていた。というか泣いていた。涙が頬を伝っていた。何故か?それは足元の母親らしき人物が動かない事から恐らくその人物はもうこの世を去った直後だったのだろうと僕は察した。中央分離帯には横断歩道もあり、街の人達はまるでその親子がそこに存在しないかの様な無視、素通りをする。そんな世界がこの薄いガラスの窓の向こうに広がっていた。

当日僕は「自分が無知で無力だった」と誰かに話した事があった。それはなんとなく、周りにいた諸先輩方(年齢的には60以上)から

あー、あーゆーのはバックにマフィアとかがいて、絡むとろくな事ないから辞めた方がいい

みたいな事を言われて、割と素直に受け入れていたみたいなところもあった。でも、それってなんとなく自分から逃げていただけだったので物凄く違和感だけが残り、子骨が喉に刺さったままのような感じだった。逃げるにも理由はあるワケで、どうなるかわからないというのもあった。

毎年行くにつれて徐々にそれが確信になっていくのだけど、やはり、そういった事に関して素直に動ける人と、一旦距離を置いて考えてみる人と、やり方は様々だけど、世界がそういうものだという理解、脳内でコンパイルする事に超先進国民としては時間を要するのが普通なのではないかという結論に至った。

最近、こんなのがありましたね。こういうの、凄く怖いなーって思うワケです。

貧困国に作った「善意の井戸」を巡り大虐殺も...マスコミが伝えない人道支援の闇 | 日刊ナックルズ

タイムパラドックスじゃなくて、外来種問題でもないけど、本来そこにはありえないはずの何がが与える破壊的な影響。怖い。

僕が感じたことは、もし僕があの時メルセデス・ベンツから降りて、あの少女を保護したら、その後、どのような事が待っているのか?という事がとにかく想像できなさ過ぎて、どうするべきなのか、また、自分がどうしたいのか、がわからなかった。もしかしたら少女に刺されて殺されて金品を奪われてたかも知れない。というかその時はそんなことすら想像できなかった。でも、あそこで動いていたら、多分、全く違う人生をおくっていたのかも知れない。いや、実際何もしなかったのだからアレなんだが…

こういう経験をせずに亡くなっていく日本人もいるのだろう。だからと言って無理にこの経験を勧めるかと言われればよくわからんとしか言えない。東日本大震災後、原発事故により放射性物質による汚染が懸念されるようになり、海外への移住を口にする日本人を何人か知っている。彼らが言うのは後進国では物価が安く、小額でも暮らせるとか。そこは間違ってないのかもしれないが、高度に発展した日本の暮らしからそう簡単にシフト出来るのか僕は疑問だ。恐らく今になっても移住していないということはそういうことなんだろう。えっ、どういうことかって?だから、結局、想像できないだろうし、行ってしまえば後戻りは出来ないから踏み切れないのでしょう。あ、沖縄に移住した人達もいましたよね。あれ、どうなったんでしょね…

かと言って何もかもを恐れて全く何も考えない、見なかったことにするみたいなのもどうかと思うんですよね。とにかく、身の丈ってことになるんでしょうね。そして残念ながらその身の丈か高くなればなるほど、こう言ったことに関して自分の心の臭いところに蓋をしてしまう気もします。僕はまず、自分がもっと強く、大きく成長することが先だという結論に至りました。そして出来ることはする。これが僕の身の丈なのでしょう。

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